「車に傷がついているんだけどどれくらい査定額が変わるんだろう」
「傷がついてたら=事故車なの?」
「傷は自分で直したほうが査定額は上がるの?」

傷がついている車をこれから売ろうと思っているんだけど、傷や凹みがある事でどれ位査定額が下がるのか事前に知っておきたい所ですよね。

中古車の買取りを仕事として携わった筆者が、答える際に「難しいな」と思う事は、電話で「傷のついた車なんだけど、いくらになる?」と聞かれた場合です。

問い合わせ頂いた方の自動車の車種、年式、走行距離から推し量る「相場」はデータを調べれば「時価」を判断しお伝えする事はできます。

しかし、細かい傷や修復の程度(事故歴を含む)に関しては実車を見てみないと何とも言えません。

ということで今回は買取をした側の経験談として傷のついた車の査定についてお話してきたいと思います。

傷やへこみの傷・場所・深さによってマイナス査定額が異なる


一般に「傷・凹みがある」と言っても、それはその人その人の見解による問題が絡んでくるので実際に見ないと傷・凹みの程度がわかりません。

中古車査定の現場に於いては明確なランク付けがある訳ですが、突き詰めていくと、その基準を元にして判断する「査定員」の個人差も出てきます。

実際にあった話ですが、買取店の店頭で査定した店員の判断とオークション会場で受け入れ査定をする検査員とで、結果的に傷の見落としあった。

ということが散見された事もありました。

これは、流通過程でのある種の「見落とし」がある事を意味します。

話が脱線してしまいましたが、角、傷・凹みも米粒大の傷や凹みから、拳大・それを超える大きさの物とさまざまです。

傷については、一定の尺度として「爪が引っかかる」か否かが重要な判断ポイント。

「爪が引っかかる傷=錆の出る恐れがある」もひとつの基準になるし、線傷の長さ・深さも査定の際にはマイナス幅を左右する要素になります。

したがって、査定の金額にも影響が出てくるという訳です。

カラーによってマイナス査定の幅が異なる


自動車のボディーカラーの選択は好みもあり、判断の難しいポイント。

査定の際のマイナスポイントになるのかどうかは、車種の人気度合いに反映されるからです。

たとえば、中古車流通の場面において、ブラックカラーの物件がほとんどを占めている場合に、レッドの車種が流れ込んできたとします。

その場合、レッドを「レアもの」と市場が判断するか、そうでないかのどちらかですよね。

このように主に流通している色が何色で、人気なのは何色なのかで市場流通価格が変わります。

もうひとつは、その車のイメージを左右するカラーが何か。

これも査定金額に大きく関わってくるでしょう。

ここで質問です。

フェラーリといえば何色ですか?

大体の人であれば「レッド」と答えるはずです。

このようなイメージがある様に、一般の車種にもトレンド色が存在します。

スポーツカーはホワイト・ブラック・レッド・イエロー。

スポーツカーならこれらの色が通用しますが、ファミリータイプのセダンでイエローだったらどうでしょうか?

このように車のカラーについて考えてみると、リセールバリューの事も頭に入れて新車の検討をしてもいいのかなと思いますよね。

ボディーカラーも査定金額を左右する重大な要素である事は今後、車を買うという点においても重要な事なので覚えておくようにしましょう。

※※ここまで※※

消える傷はマイナス査定しない業者もある

査定をする側として判断が難しいのが「線傷」。
それも蜘蛛の糸の様に薄く線が入っている場合です。
例えると「竹藪に入って木々の枝葉で擦れた傷」は判定が難しくなります。

複数にまとまっていれば「くすみ傷」としてマイナスをする事もありますが、前述したような「爪の掛かる傷」よりも浅い傷の場合、査定員の判断として「磨けば目立たたなくなる程度」と判断する場合もあるんです。

実際の話、オークションに出品する前には清掃と洗車・若干の磨きをして出品します。

磨きなどをしていると微妙な傷が消える車も多く見てきました。

業者用のワックスやコンパウンドで消えてしまう様なものは、査定の段階で弾いてしまいます。

究極的には査定する個人の判断に委ねるのですが、マイナスしない業者も居るということを覚えておきましょう。

自分で傷や凹みを修理するのは絶対にNG


DIY。

費用を抑えるという面からは必要な事ですが、車のリペアという面でみると絶対にしてはいけません。

プロの板金屋さんがする仕事のレベルと、素人の仕事では絶対的な技術の差があります。

綺麗に直したつもりが、余計に目立つ結果になり査定額が大幅にダウンした…。

ということを実際に多くみてきました。

査定する側からすると「ああ、何で塗ってしまったのだろう。」と悔しい思いをする事があります。

現状の方がいいのになあと。

嘘をつく事はできないので、この事を泣く泣くお客様に伝えます。

何度もいいますが、リペアは修理業者さんに任せておいた方が間違いないです。

自分でなおすのは査定額が大幅に減ってしまうので絶対に止めておきましょう。

傷やへこみを自分で直そうとしても失敗すれば逆に査定が下がり損をする

自分で直したい。

そういう気持ちは尊重します。

しかし、自動車の塗装はタッチアップペイントでカバー出来るほど簡単に作られているでしょうか。

防錆・下地・メインカラー、メタリック・ソリット、クリア。

何層にも塗られている訳です。

それを治すとなると板金屋さんも、ある程度は同じ工程で修理をする訳ですがメーカーと同じ事は出来ません。

リペア補給部品も(部品商に居たのでわかる事ですが)黒塗り塗装がしてある状態で届き、板金屋さんが色を調合し、塗り、仕上げて行くのです。

こうした工程を簡易なマスキングと市販のペイントで代用できるかどうか。

これは難しいですよね。

査定が下がるというのは、そうした部分から見て、下がるのです。
板金屋さんの技量の差もある訳ですが。

苦労はあっても査定が下がってしまうのでは、やらない方が無難でしょう。

「籠で水を汲む」ようなもの。

もし自分で直し、うまくいっても後でバレてしまい査定が下がる

上記の様な工程を経て自動車のリペアがなされる訳ですが、自身で直される場合は、そうした部分まで出来ないのがほとんど。

当然、直し跡は見る人が見ればわかるものです。

誤魔化しは絶対に利きません。

そうした綺麗に直ってない場合は、それ自体が評価を下げてしまいますし、直し方の程度(技量)によっても査定の評価が変わってきます。

お店やディーラーにやってもらっても買取額が修理代を超える事はない

ネタばらし的な話になりそうですが、買取業者からすると買取額はオークションに出品す為の「仕入れ」です。

ですから査定額も言い換えれば仕入金額と言えます。

一方、修理代金は修理してもらったサービス料。

即ち小売り金額(修理業者からいう「売値」となります)。

たとえば、ドア交換してもらった金額(修理)が5万円だとしても、査定金額が5万円差引かれるという訳では無いのです。

あくまでも「交換した」という事実だけなので、イコールではありません。

もう少し掘り下げます。

全損に近い損傷を受けた車であっても、現状で買取をしてくれる業者がいるように、決して査定額ゼロという訳ではありません。

買取額が修理代を超える事は無いという部分を煮詰めて行くと、理屈はそうなります。

新車販売における下取り車価格も同じ。

建前でゼロですとは言えないので「3万円」と適当な金額をいうのです。
実際にはスクラップとして業者が引き取る事もあります。

つまり、どんな車であれ売れるのです。
そういう意味で言
いうと、車はくいっぱぐれがない商品とも言えますよね。

まとめ


筆者は新車の販売営業・自動車部品商・中古車買取業を経験して参りましたので、マルチな視点で「中古車買取」「査定」を判断できますが、一般には中々理解しがたい事情も沢山含んでいます。

これは何台もの車を売ってきた事で分かってきた事ですが、買取業者と売りたい側の温度感や考え方は相当違うんです。

ひとつの傷が人によって判断される訳ですから、人によってどうジャッジするか分かれるのが査定。

査定依頼を受けたスタッフの裁量という部分もあるし、その時の勢いで金額が決まる事もありえます。

なので、傷のついた車を高く売りたいのであれば方法はたったひとつ。
「面倒だけれど色んな業者に聞いてみる」

相場価格を推し量ってみる。
これは物凄く大事な事だと思います。

いろんな角度から、色んな業者・得意分野がある業者に査定依頼してみて高く査定してくれる業者をぜひ、見つけてみてくださいね。